こういうのがいいが気持ち悪い…その理由とは?

「こういうのがいい 気持ち悪い」と検索したあなた、その違和感はあなただけのものではありません。90万部を超える人気作でありながら、「なんか無理」「共感できない」といった声がSNSにあふれる本作。一方で「自由でいい」「理想的」と肯定的な意見も多く、賛否が大きく分かれています。この記事では、なぜそう感じるのか、どこに共感・反発が生まれるのかを、具体的な描写やキャラ設定、恋愛観の違いなどをもとに丁寧に解説します。あなたのモヤモヤの正体、見つかるかもしれません。

スポンサーリンク
〈電子書籍/コミックの品揃え世界最大級〉【ebookjapan(イーブックジャパン)】
  1. 1. はじめに:「気持ち悪い」と感じるあなたへ
    1. 1-1. なぜ“こういうのがいい”は検索されているのか
    2. 1-2. 違和感を抱く人が多数派?SNSのリアルな声
  2. 2. 「こういうのがいい」ってどんな作品?
    1. 2-1. 作者・双龍と作品概要(90万部突破・ドラマ化)
    2. 2-2. 主人公・村田元気とヒロイン・江口友香の関係性
    3. 2-3. 話題の「フリーダムフレンド」とは何か?
  3. 3. 「気持ち悪い」と言われる理由【女性目線の違和感】
    1. 3-1. 江口友香のキャラ造形が極端すぎる問題
    2. 3-2. 男性視点が強すぎる構成と描写
    3. 3-3. 「下ネタ・露出・オタク語」満載の日常会話
    4. 3-4. 恋愛感情の描写が希薄で“都合のいい関係”に見える理由
  4. 4. 「気持ち悪い」と思わない人の視点【支持派の意見】
    1. 4-1. 新しい恋愛像?束縛のない関係に共感する声
    2. 4-2. “リアルな願望”として読む若者の視点
    3. 4-3. 他作品との比較:「来世は他人がいい」などとの違
  5. 5. 気持ち悪いと感じた人が抱える“モヤモヤ”の正体とは
    1. 5-1. 恋愛観のギャップと共感できなさ
    2. 5-2. フィクションなのに“リアル”を装う不誠実さ
    3. 5-3. 男女の非対称な描写への不満と時代感覚のズレ
  6. 6. 作品への向き合い方:読者はどう受け止めるべきか
    1. 6-1. 「気持ち悪い」と感じるのは普通のこと
    2. 6-2. エンタメ作品として距離を取る視点
    3. 6-3. 自分の恋愛観と作品を切り分けてみる
  7. 7. まとめ:「こういうのがいい」は、こういうところが“良くない”?
    1. 7-1. 支持と批判が分かれる理由の本質
    2. 7-2. 違和感=感性のズレと向き合うヒント

1. はじめに:「気持ち悪い」と感じるあなたへ

1-1. なぜ“こういうのがいい”は検索されているのか

漫画『こういうのがいい』は、2020年10月から「となりのヤングジャンプ」で連載がスタートし、2023年時点で累計発行部数は90万部を突破。さらには同年10月にドラマ化され、主演に西山潤さんと田中美麗さんを迎えたことで、SNS上でも話題が一気に加速しました。

そんな注目作でありながら、「気持ち悪い」「なんかモヤモヤする」と感じる人が少なくありません。このフレーズで検索する人が多いのは、単に“炎上しているから”ではなく、自分の感じた違和感に対する「他の人もそう感じてる?」という確認欲求や、「あの気持ち悪さって何だったんだろう?」と理由を知りたくなる心理が大きいと考えられます。

特にヒロイン・江口友香のキャラクター像が大きな論点です。彼女はファミレスで働きながらゲーム配信で収入を得るという今風の女性ですが、トイレのドアを開けたまま用を足す描写や、下ネタを平然と口にするシーンなど、いわゆる“リアルな女性像”とはかけ離れた設定が目立ちます。これが「男性の理想を詰め込みすぎていて、共感できない」と感じる読者を生んでいるのです。

また、「フリーダムフレンド」という新しい関係性――恋人でもなく、セフレでもない、でも性的な関係は持つ――がテーマになっており、恋愛の常識を崩すような展開に戸惑う人も多いようです。「共感できないけど、なんでこんなに読まれてるの?」という興味と疑問が重なり、検索につながっているといえるでしょう。

1-2. 違和感を抱く人が多数派?SNSのリアルな声

X(旧Twitter)やTikTokなどのSNSを覗くと、『こういうのがいい』に対して「なんか無理」「ヒロインが気持ち悪い」「男の願望詰め込みすぎ」といった否定的な感想が一定数存在しています。特に女性ユーザーからの反応はシビアで、「こんな子いないでしょ」「リアルさがない」といった声が多く見られます。

その背景には、作品の描写における“男性目線の強さ”があります。主人公・村田元気が、江口友香のような自由奔放で性的な話題にも抵抗がない女性と、束縛のない関係を築く展開は、理想化されすぎているという印象を与えます。現実では、出会ったその日に関係を持ち、なおかつその後もドライでありながら親密な関係を続ける、という設定に違和感を抱くのも無理はありません。

特に注目されたのが、江口の「トイレのドア開けっ放し描写」や、「ぱおん」「草」といったオタクスラングを多用する会話スタイル。SNSでは「リアルな女性はそんなこと言わないし、しない」といったツッコミが多く、ギャグに見えないぶん、拒否反応が強く出てしまったようです。

また、実写ドラマ化によってこの“気持ち悪さ”に触れる人が増え、SNSでの議論もさらに加熱。「ドラマ化ってことはウケてるってこと?」「私がズレてるの?」と感じた人たちが共感を求めて検索するケースも見受けられます。

つまり、違和感を抱いた人が検索するのは、自分の感覚を誰かと照らし合わせたいという自然な欲求から。実際にSNSでは「気持ち悪いと思ってるの私だけじゃなかった」という投稿が多く、同じ感情を共有することで安心感を得たいという人が多いようです。

2. 「こういうのがいい」ってどんな作品?

2-1. 作者・双龍と作品概要(90万部突破・ドラマ化)

『こういうのがいい』は、漫画家・双龍(そうりゅう)さんによるラブコメ作品で、もともとはpixivで発表されていたシリーズが人気を博し、2020年10月から「となりのヤングジャンプ」で正式に商業連載としてスタートしました。その後も反響は拡大し、2023年7月時点で単行本は第6巻まで刊行、累計発行部数は90万部を突破するヒット作へと成長しています。

この作品の特徴は、一見ラブコメらしい軽さを持ちながらも、男女関係に対する固定観念を大きく揺さぶるようなテーマを扱っている点にあります。恋愛マンガの王道から逸れたストーリー展開が、読者の賛否を二分しているのもこの作品ならではです。

さらに注目を集めたのが、2023年10月から放送されたテレビドラマ化です。ABCテレビで毎週日曜深夜0時55分に放送され、主人公・村田元気を西山潤さん、ヒロイン・江口友香を田中美麗さんが演じています。実写化にあたって、「あの独特な関係性や描写をどう映像で表現するのか」といった関心が高まり、SNS上でもたびたび話題にのぼるようになりました。

このように、『こういうのがいい』は、既存の恋愛観に一石を投じるようなアプローチで多くの読者を惹きつけつつ、一方で“気持ち悪い”といった否定的な声も呼び込む、非常に尖った作品となっています。

2-2. 主人公・村田元気とヒロイン・江口友香の関係性

この物語の中心人物は、20代の会社員・村田元気と、ゲーム配信などで収入を得るフリーターの江口友香。二人はオンラインゲームのオフ会で初めて出会い、ほぼその日のうちに肉体関係を持ちます。そして、そこから「フリーダムフレンド」という不思議な関係性がスタートしていきます。

村田元気は、過去に付き合っていた彼女との関係に疲れ切っていて、「もうめんどくさい恋愛はしたくない」と感じている青年。一方、江口友香も、自分に理想像を押し付けてくる元彼にうんざりしていて、束縛や重たい関係性には拒否感を抱いています。

そんな二人が出会い、「恋人でもない、でもただの友達でもない」という関係を築いていくのですが、ここに作品の独自性と物議の中心があります。特に江口友香のキャラクター性が強烈で、下ネタを連発したり、トイレのドアを開けっ放しで用を足すなど、読者が「これはちょっと…」と感じる場面が多く描かれています。

その一方で、江口は外見がとても可愛く描かれており、性的な話題にもノリ良く応える姿勢は、まさに“男性の理想像”を体現しているようにも見えます。このあたりが「気持ち悪い」と感じる人たちの根本的な違和感に繋がっており、「現実にこんな女性いない」「男の都合が良すぎる」といった声が上がる理由にもなっています。

2-3. 話題の「フリーダムフレンド」とは何か?

この作品を語るうえで欠かせないキーワードが「フリーダムフレンド」です。作中で村田元気と江口友香が築く関係性を指しており、恋人ではなく、ただの友人でもなく、かといって完全なセフレでもない――そんな曖昧で自由なつながりを意味しています。

この関係は、恋人にありがちな束縛や依存を避けながら、一定の親密さや性的関係は持つという、いわば“都合の良い距離感”を保ったものです。作中では、「互いに干渉しすぎず、それでいて一緒にいて楽しい」ことが、この関係の魅力として描かれています。

ただし、この“自由さ”が逆に違和感の原因にもなっています。というのも、現実においては、男女間の関係には感情の波や誤解、すれ違いといった複雑な要素がつきものです。しかし、作中ではそうした衝突がほとんど描かれず、すべてが都合よく進行していく印象が強いのです。

特に江口友香の行動が、常に村田の価値観に合わせてくる点や、感情の揺れが極端に少ない描写など、「リアルな人間関係として成立しないのでは?」と感じる人が多いようです。この「フリーダムフレンド」という新しい概念が、果たして理想的なのか、それとも作り物感が強すぎるのか――この問いこそが、作品に対する“気持ち悪さ”の本質に深く関わっているのかもしれません。

3. 「気持ち悪い」と言われる理由【女性目線の違和感】

3-1. 江口友香のキャラ造形が極端すぎる問題

『こういうのがいい』のヒロイン、江口友香は、いわゆる“これまでにないタイプの女性キャラクター”として描かれています。見た目は可愛らしく整っており、ファミレスでバイトをしながら、ゲーム配信で副収入を得ているという、今時の設定。ですが、その中身はかなり突飛で、視聴者の賛否を大きく分けています。

たとえば、日常の中で平然と下ネタを口にし、トイレのドアを開けっぱなしにして用を足すような描写があります。こうした振る舞いは、あえて“型破り”を狙ったとも思えますが、一般的な生活感や感覚からはあまりにもかけ離れており、「こういう女性、リアルに存在しない」と違和感を持たれる原因にもなっています。

また、江口の言動には常に“男性から見た理想”が色濃く投影されており、性格的にも「サバサバしている」「束縛しない」「性的にオープン」といった特徴ばかりが強調されています。これは一部の読者からすると「自由な女性像」として受け入れられるかもしれませんが、多くの読者にとっては「都合が良すぎる」「男の夢を押し付けてる」と感じられる要素でもあります。

この極端なキャラ設定が、作品全体にリアリティのなさを生み、「気持ち悪い」と感じる原因の一つになっているのは間違いありません。

3-2. 男性視点が強すぎる構成と描写

『こういうのがいい』は、物語の語り手が主人公・村田元気であることもあって、ストーリー全体がかなり男性目線で構成されています。この構成が、作品を“理想の恋愛ファンタジー”として読む層には刺さる一方で、恋愛観にバランスを求める読者からは不評の声が多く上がっています。

江口友香の言動がその最たる例で、彼女は村田の言動にいちいちツッコミを入れるわけでもなく、むしろ積極的に寄り添い、性的なことにも嫌悪感を示さず応じるという描写が中心です。しかも、関係を持った直後でも情緒的なトラブルは発生せず、「なんとなく気が合うから」「一緒にいて楽だから」といった理由だけで、気楽に関係が続いていきます。

こうした展開は、まるで村田の都合のいい世界が展開されているかのように見えてしまい、女性読者やリアリズムを重視する読者からは、「まさに男性の妄想が具現化されている」「女性キャラの人間性が薄い」といった厳しい評価につながっています。

物語のトーンや描写の方向性がここまで一方的だと、読者の共感を得るのは難しく、「気持ち悪い」と思われてしまうのも無理はないでしょう。

3-3. 「下ネタ・露出・オタク語」満載の日常会話

本作では、登場人物たちの会話の中に“下ネタ”や“露出描写”、そして“オタク用語”が非常に多く含まれており、これが読者の受け取り方を大きく左右しています。江口友香は、「ぱおん」「草」「うぽつ」といったネットスラングを日常的に使い、しかもそれが性的な話題や軽妙な下ネタに自然と繋がっていく構成になっています。

一見するとこれは「現代の若者文化をリアルに描いている」とも受け取れますが、実際には“わざとらしさ”を感じてしまう人も少なくありません。特に、江口が露出の高い格好で部屋を歩き回ったり、下ネタを無邪気に連発する姿には、「本当にこういう女性っているの?」という疑問がつきまといます。

このような会話スタイルや言動の背景に、あまりにも男性側の欲望や理想が見えすぎているため、「リアルな会話というより、男性ウケを狙った演出では?」という印象を与えてしまいます。結果として、それらが“気持ち悪さ”を増幅させる要素となっているのです。

3-4. 恋愛感情の描写が希薄で“都合のいい関係”に見える理由

『こういうのがいい』における男女の関係性は、「恋人同士」でも「セフレ」でもない、という曖昧なラインで描かれています。これは一見、新しい価値観の提示のようにも思えますが、その実態を見ると、恋愛に不可欠な“感情の機微”がほとんど描かれていないことに気づきます。

たとえば、村田元気と江口友香が出会ってすぐに身体の関係を持ち、以後も特に衝突や葛藤もなく関係が続いていく展開は、あまりにもスムーズすぎて現実味がありません。恋愛感情が育まれるプロセスや、互いに相手の心情を理解しようとする場面がほとんど描かれないため、「ただ都合のいい関係が続いているだけ」に見えてしまうのです。

また、江口の側にも感情の揺れや戸惑いといった“人間らしさ”が薄く、村田に合わせるかのように行動しているように感じられる点も見逃せません。読者からすると、「この二人は本当に心で繋がっているの?」という疑問が生じ、そこから“共感できなさ”や“気持ち悪さ”に繋がっていきます。

恋愛とは本来、言葉や行動の裏にある感情が読者の共感を呼ぶものですが、この作品ではその部分がごっそり抜け落ちている印象を与えてしまい、“理想を押し付けた空虚な関係”に見えてしまうことが多いのです。

4. 「気持ち悪い」と思わない人の視点【支持派の意見】

4-1. 新しい恋愛像?束縛のない関係に共感する声

『こういうのがいい』には、「恋人でもなく、ただの友達でもない」という新しい男女関係の形、「フリーダムフレンド」が登場します。この関係性は、従来の恋愛マンガが重視してきた“付き合う・別れる”“好きかどうか”といった明確な境界をあえて曖昧にしており、「束縛がなくて気楽でいい」「理想的な距離感」と評価する声も一定数見られます。

特に、過去に重たい恋愛や束縛を経験したことのある人にとっては、この自由でドライな関係性が一種の救いとして映ることもあります。作中では、村田元気が「恋人に毎日のように行動を詮索されて疲れた」と語り、江口友香も「理想像を押しつけてくる元カレにうんざりしていた」と打ち明けています。この共通する“しんどい恋愛への拒否感”が、現代の恋愛における悩みとシンクロしていると感じる読者も少なくありません。

また、恋人関係にありがちな感情の駆け引きや嫉妬、すれ違いといった要素がほとんど描かれないため、「気軽な関係のほうが気持ちが楽」と共感する若年層の読者もいるようです。恋愛の形が多様化する今の時代だからこそ、「こういう関係性もアリだよね」と捉える声が一定のリアリティを持っているのも事実です。

4-2. “リアルな願望”として読む若者の視点

『こういうのがいい』に対する肯定的な意見の多くは、「これはファンタジーとして読んでる」「男の理想が詰まってて逆に面白い」といった、“リアルな願望”を前提にした読み方をしている若い読者からのものです。特に、恋愛経験が浅かったり、恋愛に疲れていたりする層からは、「こんな関係、ちょっと羨ましいかも」といった共感が寄せられています。

江口友香というキャラクターも、「ああいう子、いないけどいたら最高」といった“理想化された存在”として受け入れられている節があります。下ネタに抵抗がなく、ゲーム好きで、見た目は可愛く、それでいて束縛しない。いわば、“気の利く彼女”を突き詰めたような存在です。これが現実離れしていることはわかっていても、「だからこそ気楽に楽しめる」と感じている層も多いのです。

また、SNSでは「自分の理想を形にしたような漫画」といった感想も見られ、現実に手が届かないからこそフィクションで満たされたいという若者の本音が垣間見えます。恋愛に関する価値観が“ロマンチックな理想”から“合理的で快適な関係”へと変化している今、こうした“都合の良さ”を前向きに受け取る読者が増えているのも頷ける現象です。

4-3. 他作品との比較:「来世は他人がいい」などとの違

『こういうのがいい』とよく比較されるのが、小西明日翔さんの『来世は他人がいい』などの恋愛作品です。どちらも“恋愛の型”を崩した作品ではあるのですが、その描き方には大きな違いがあります。

たとえば『来世は他人がいい』では、主人公たちが暴力団の家系という特殊な設定のもとで、恋愛感情と倫理観の衝突、心の葛藤が非常に丁寧に描かれています。一見すると刺激的な関係でも、そこには必ず「人間らしい揺れ」や「相手を思う気持ち」が表現されており、読者が感情移入しやすい土台がしっかりと築かれています。

それに対して『こういうのがいい』は、恋愛の機微や心のぶつかり合いといったドラマを意図的に排除し、最初から“理想の関係性”が成立している状態で物語が進行します。結果として、「感情の成長」や「関係の深化」といったプロセスが描かれないため、読者によっては「都合の良さだけが強調されている」と感じるのです。

つまり、『来世は他人がいい』のように“生々しいけどリアル”な恋愛を描く作品と比べると、『こういうのがいい』は“感情より快適さ”を優先しており、それが“気持ち悪さ”を覚えるか、逆に“気楽で良い”と感じるかの分かれ目になっています。読者の恋愛観や価値観によって、受け止め方が大きく変わるのがこの作品の特徴だと言えるでしょう。

5. 気持ち悪いと感じた人が抱える“モヤモヤ”の正体とは

5-1. 恋愛観のギャップと共感できなさ

『こういうのがいい』が「気持ち悪い」と言われる大きな理由の一つに、“恋愛観のギャップ”があります。この作品では、恋人でもなくセフレでもない、けれども性的な関係は継続している「フリーダムフレンド」という関係性が中心に描かれています。作中では、村田元気と江口友香が初対面のオフ会で意気投合し、その日のうちに関係を持ち、以降はお互いを束縛せず、自由に付き合っていくという展開がごく自然に描かれます。

しかしこの“自由さ”に違和感を覚える読者も少なくありません。特に、「恋愛=心のつながり」と考える人にとっては、感情の育成も葛藤もないままに成立する関係性に対して、「軽すぎる」「本当に気持ちが通じ合っているの?」という疑問が生まれます。

江口友香は性的に積極的で、下ネタやオタク用語もバンバン使いこなす、いわば“なんでも許してくれる理想の彼女”のような存在ですが、そこに“人間らしさ”や“気持ちの揺れ”といったリアリティが欠けているため、読者との感覚的なズレが生じやすいのです。

つまり、多くの人が抱く恋愛への価値観――たとえば、相手を知って信頼を築く過程や、すれ違いや不安を乗り越えるような“成長の物語”――とはあまりにも違いすぎて、そこに共感が追いつかない。だからこそ、「気持ち悪い」という言葉で、そのギャップを表現せざるを得ないのだと思います。

5-2. フィクションなのに“リアル”を装う不誠実さ

フィクションであるにもかかわらず、あたかも“リアルな恋愛”を描いているかのような演出がある点も、多くの読者にとって違和感の原因になっています。『こういうのがいい』は、現代の若者文化やネットスラングを多用する会話、無防備な下着姿、トイレのドアを開けたままにする描写など、細かい生活描写をリアルに再現しているかのように見えます。

ですがその一方で、登場人物たちの心の動きや関係性の発展には現実感がありません。特に江口友香に関しては、性的に非常にオープンで、しかも常に主人公にとって都合のいい言動しかしないという“完璧すぎる”描写が続きます。このバランスの悪さが、「まるでリアルを装った妄想」だと感じさせてしまうのです。

また、読者が“リアル”と感じるのは、登場人物が時に間違えたり、悩んだり、迷ったりする姿を見たときです。しかしこの作品では、そうした人間的な葛藤がほとんど描かれません。そのため、「生活のディテールだけリアルで、内面は空虚」というアンバランスさが、「嘘くささ」や「誠実さの欠如」として受け取られ、「気持ち悪い」という拒否反応につながっているのではないでしょうか。

5-3. 男女の非対称な描写への不満と時代感覚のズレ

『こういうのがいい』には、男女の描かれ方に明確な非対称性が見られます。村田元気は、過去の恋人との関係に疲れ、「面倒なことはもう嫌だ」と語る、内向的で少し繊細な性格。一方で、江口友香はそんな彼にとって理想的な存在として登場し、性的にも積極的で、自由で、干渉しない。作中の江口はまるで“男性が夢見る理想の彼女像”を体現するかのように行動します。

このような構造が、読者の間で「女性キャラの存在が男性を満たすためだけに設計されている」と感じさせてしまい、違和感や不快感を生む原因となっています。特に、女性側の心理描写が極端に少なく、「なぜ彼女がそこまで村田に好意的なのか」「どんな感情を抱いているのか」がまったく伝わってこない点に、モヤモヤを抱える人が多いようです。

また、現代社会では“男女平等”や“女性の主体性”といった価値観が重視される傾向にあります。そんな中で、「男性のためにだけ動く女性キャラ」が中心に描かれていると、どうしても“古い価値観”や“ジェンダー観のズレ”を感じさせることになり、結果として「時代錯誤だ」「見ていて辛い」といった否定的な反応が生まれてしまいます。

つまり、男女の描写における非対称性と、それを正当化するような作中の空気感が、「今この時代に描くべき恋愛像としては不自然」と感じられ、それが“気持ち悪さ”という感情を引き起こしているのです。

6. 作品への向き合い方:読者はどう受け止めるべきか

6-1. 「気持ち悪い」と感じるのは普通のこと

『こういうのがいい』を読んで、「なんか気持ち悪い」「モヤモヤする」と感じた方は決して少数派ではありません。実際、SNS上でも「ヒロインが不自然すぎる」「リアルじゃない」「男の願望そのまま」といった声が多く見られ、特に女性読者からは違和感を訴える投稿が目立っています。

この作品は、恋人でもセフレでもない曖昧な関係「フリーダムフレンド」や、トイレのドアを開けっ放しにするヒロイン、下ネタを日常的に口にする会話など、かなり特殊な描写が多く登場します。そこに対して「なんとなく気持ち悪い」と感じるのは、自然で正直な反応です。

読者の性別や年代によって受け取り方が大きく分かれるのも特徴的で、恋愛経験の少ない男性層からは「理想的な関係」として評価される一方、30代以上の読者や女性層からは「非現実的すぎて感情移入できない」という指摘が多く寄せられています。

つまり、気持ち悪いと感じる理由は、作品が描く恋愛観や人物造形が、多くの人が持つ“現実の感覚”と大きくズレているから。その違和感を覚えること自体は、ごく自然でむしろ健全な感性といえます。

6-2. エンタメ作品として距離を取る視点

『こういうのがいい』は90万部を超える発行部数を誇り、2023年には実写ドラマ化までされている人気作です。ただし、その人気が「すべての人に受け入れられている」という意味ではなく、“尖った設定”や“癖の強いキャラ”が物議を醸しているからこそ注目されている側面もあります。

この作品をどう受け取るかは個々の自由ですが、「エンタメ作品だからこそ距離を取って楽しむ」という視点も非常に大切です。たとえば、江口友香のように性にオープンで、常に都合よく振る舞ってくれる女性が現実に存在するかといえば、それはほぼファンタジーです。そういう非現実的な設定に対して、真っ向から共感しようとすると余計にストレスがたまってしまいます。

エンタメには、現実とは違うからこそ楽しめる世界観やキャラクターがあって当然です。その一方で、自分の価値観や現実と比べて距離を置くことで、「これはこういう世界の物語なんだな」と割り切って見ることも、健全な受け止め方のひとつです。

実際、SNSでも「現実にいたら無理だけど、作品としてはアリ」「マンガだから笑って読める」などの声も一定数あり、楽しみ方を変えることで不快感を和らげている読者も多く存在します。

6-3. 自分の恋愛観と作品を切り分けてみる

『こういうのがいい』が読者に強い違和感を与えるのは、やはりその恋愛の形が一般的な価値観とかけ離れているからです。主人公の村田元気と江口友香は、「好き」とも「付き合おう」とも言わず、気楽な関係を保ち続けます。しかもその関係にはほとんどトラブルがなく、あっけらかんとしたテンポで物語が進んでいきます。

こうした展開を見て「共感できない」と感じるのは当然ですが、そこで大切なのは「自分の恋愛観」と「作品が提示する価値観」を切り分ける意識です。自分の中にある“恋愛とはこういうもの”という考え方を否定する必要は全くありません。しかし、フィクションに登場する恋愛がすべて自分の考えに沿っていなければならない、というわけでもありませんよね。

本作は「こういう関係もあるかもしれない」「こういう理想を描く人もいるんだな」という程度に捉えることで、自分自身の価値観を再確認するきっかけにもなります。むしろ、「自分はこういう関係は無理だ」と気づけることで、自分にとって大事な恋愛観をより明確にできるチャンスにもなり得るのです。

このように、自分の価値観と作品の価値観を無理に重ね合わせず、あえて切り離して受け止めてみると、苦手な作品でも少し違った見方ができるようになるかもしれません。

7. まとめ:「こういうのがいい」は、こういうところが“良くない”?

『こういうのがいい』という作品には、90万部を超えるヒット作としての魅力と同時に、「気持ち悪い」「なんか受け入れられない」と感じる読者の戸惑いが確かに存在しています。性的にオープンなヒロイン・江口友香、恋人でもセフレでもない「フリーダムフレンド」という関係、下ネタとオタク用語が飛び交う会話、そして何より男性目線が色濃く出た構成。

これらが一部の読者には“新しい”“自由な恋愛像”として映り、共感を得る一方で、特に女性読者や恋愛経験の豊富な層からは「都合が良すぎる」「人間味が感じられない」との声が上がっており、評価が大きく分かれています。

つまり、この作品が“良くない”とされる点は、描写の過激さやキャラ設定の突飛さそのものではなく、それを「これが現代のリアルです」と提示するような語り口にあるのかもしれません。フィクションでありながらリアリティを装い、“わかっている感”を出していることに、かえって拒否反応を抱く読者が多いのです。

7-1. 支持と批判が分かれる理由の本質

『こういうのがいい』が支持される理由は、ある意味でとてもシンプルです。感情的な面倒くささを排除した“都合のいい関係”が描かれていて、しかもヒロインは可愛くて自由で、男性の理想をすべて体現してくれるような存在。それは、恋愛に疲れた人や、複雑な人間関係に悩んでいる人にとって、「こんな関係、ちょっと羨ましいな」と思わせる魅力があります。

一方で批判の根底にあるのは、「リアルじゃない」という不信感と、「男女の描写が不公平すぎる」という不満です。村田元気という主人公は、過去の恋人にうんざりし、自分にとってちょうどいい距離感を提供してくれる江口友香と出会います。しかし、その江口のキャラ造形には“女性の内面”がほとんど描かれていません。これが、「男性のためにだけ存在している女性キャラ」に見えてしまい、多くの読者が「これは共感できない」と感じる要因となっているのです。

つまり、支持と批判が分かれる理由の本質は、作品のテーマではなく、“どう描かれているか”にあります。その演出方法が、特定の読者層には刺さり、別の層には拒否される。これが、この作品を巡る賛否の軸です。

7-2. 違和感=感性のズレと向き合うヒント

『こういうのがいい』を「気持ち悪い」と感じるのは、決して感性が古いからでも、理解力が足りないからでもありません。それは、あなたが持っている“恋愛とはこうあるべき”という価値観と、作品の描く世界との間にズレがあるからにすぎません。

たとえば、恋愛に「心の通い合い」や「丁寧な関係構築」を求める人にとって、出会ってすぐに関係を持ち、感情の深まりも描かれないまま関係が続く展開は、やはり受け入れがたいものです。逆に、面倒な感情のやりとりを避けたい人にとっては、そういった設定が「気楽でいい」と感じられる。この違いこそが“違和感”の正体です。

だからこそ、「この作品が悪い」と決めつけるのではなく、「自分とは価値観が違う人が共感している作品なんだ」と、一歩引いた視点で見ることも大切です。その上で、「自分はどういう恋愛観を大切にしているんだろう?」と、逆に自分自身を見つめ直す機会にしてみるのも良いかもしれません。

違和感を感じたとき、それは“拒絶すべきサイン”ではなく、“考えるきっかけ”です。作品との距離感をうまく調整しながら、自分の価値観を言語化していくことが、読書体験をより豊かなものにしてくれるのではないでしょうか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました